木と漆 工房「和〜やわらぎ〜」

漆 作家「狩野進」の
作品を紹介いたします。

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私の木工

木工とは木を削ることだ。
――――木工を評してこんなことをいう人がいた。
確かに木工は木を削って作る。しかし近頃は必ずしもそうとはいえない。
合板やMDFといって、木をすりつぶし、接着剤と練り合わせ、型に流し込んで整形した材料で家具や建材を作ることも多い。
しかし私はあくまで無垢の木を使う。

木を削るといっても、作るものによって使用する道具が異なる。
古い朝鮮の家具など、裏側を石片で削った跡がみられるものもある。
石でも硝子でも平らになれば、手段はなんでもよいのである。
私も道具にこだわらない。

木工は、指物・刳物・曲物・挽物と工法があるが、曲物と挽物は行わない。
指物は板と板を合わせて作る。
いわば直線の美を強調した工法である。
木を刳り抜いて作る刳物は曲線になりやすい。
線より面の美しさを出す手法だと思う。

仕事としては、指物の方が難しい。
平らにするにしろ、真っ直ぐに切るにしろ、熟練が要求される。
その点は刳物には感性と、力と根気があればよい。
木を削り取る作業が大半を占めるから、彫刻に通ずるものもある。
寸法を納めるのではなく造形の方に重点がいく。
刳り抜きで作った箱は、杢目・正目・小口と三方向の表情が出る。
少々ラフな感じになるが、その方が好きなので、指物も刳物感覚になる。
指物にしても刳物にしても、木は削って作るほうがよい。

デザインについて

私の作品には、原則としてオリジナルの形はない。
美しいもの、好きなものを参考に作る。
美しいものは、古くから伝わっているものに多い。
名品は、個人のデザインではなく、長い時間を経て少しづつ出来てきた。
形を真似ても、そこから何かを学び取れば、単なる真似ではない。
もちろんオリジナルを否定するわけではない。
良いものが少ないだけだ。

使用する木材は広葉樹が多い。
広葉樹は杢目が変化に富み、面白みがある。
堅く、家具などに適している。
針葉樹は直線的で建築材として多く使われている。
柔らかいので家具には向かない。
接合部が弱いので強度が出ない。

木は国産がよいと思う。
日本の木は「木味」がよい。
輸入材はこの「木味」が乏しい。
好きな木は黒柿・欅・神代杉、どれも日本らしい「木味」がある。

四季のある日本は自然に恵まれ、独自の文化が美が生まれた。
東洋は奇数の美、西洋は偶数の美といわれる。
日本では、この奇数の美「不二美」が素となっている。
不二とは二ではない一、素になるもの、左右対称でないもの、にじみ、ぼかし、わび、さび、ゆがみなど、割り切れないもの美の素となる。
これは柳宗悦の「美の法門」の一説だが、日本の木には、この「不二美」がある。
黒柿・欅・神代杉などにはこの要素がある。

仕上げは漆がよい。
特に気の良さを出すには拭漆が一番よい。
塗った漆を拭き取り、わずかに残ったものを乾かす。
それをなんども繰り返す。

ただし、それだけでは艶が出にくい。
下地を完成させ、下地の艶を増す要領で漆を塗る。
すべて下地が大事。
仕上げは、一、二度漆を塗り、木の目に錆漆(漆と砥ノ粉を練ったもの)を詰め、乾いたら水研ぎをする。
また漆を塗る。
二、三度繰り返した後、拭漆を六、七回すると艶が出る。
まだ下地の段階で蘇芳を塗ると赤漆になる。

朝鮮工芸のよき理解者であった淺川巧が、
最後に仕上げるのは使う人、と言っている。

よく理解し、長く使ってもらえば幸いだ。